痛みが痛みで無くなる手前、柊様は口元に弧を描いた。


「逃げれるなんて思わないでよね。何のために呼んだと思ってるの?」

「ふっ……ぅぁ……っ」


全身の力が入らない。バタバタと足を動かす事も、助けを呼ぶ事も出来なかった。

私と柊様は全く別の人間。私からすればこれは拷問。柊様からすれば楽しいお話。

だってほら、ずっと、ずっとずっとずっと

……笑っているもの。


「薺を一人になんてしないでね。大好きな大好きな雛」

「きゃぅっ!あ、ぁぁぁ――……」


呪詛のような言葉が言われた瞬間、ふっと全身の力が抜け、目の前は暗黒に染まりかえった。

きっともう、逃げられない。

最後に聞こえたのは腕が壊れた音だった。