驚いて、出そうになった声を飲む。
本能的に一歩下がれば同時に襖は大きく開かれた。
赤い目と白い髪の、私よりも幼く見える男の子。いや、女の子?分からない。中性的な顔立ちをしている。そして、まるで赤い目を強調させたいかのように白い着物。
「はじめまして……かな?」
光の宿っていない目で無邪気に微笑む。別の誰かと誰かを継ぎ接ぎに繋いだ人間のようで気持ちが悪い。
それでも、震える声を絞りだした。
「ひ、柊様……は?」
「薺(なずな)が柊だよ。君を……雛を呼んだ柊薺」
また、笑う。
幼いなどと思ってしまったのは、偉い人は年が上だと思い込んでいたからだ。こんな人が私に何を……
「雛」
「はっ、はい!」
「……遊ぼうか?」
酷く歪な笑みで告げられる言葉。
赤い目は、まるで……まるで……獲物を狩る目。