薺よりも一回りは小さいであろう女の子は力なくグッタリしていて血の気はない。束ねられた髪は薺が愛でるように鋤いたと共に何本か抜け落ちた。


いや、そうじゃない。根本的なのはそこじゃなくて、着物の隙間から覗く肌が、血の気のない頬が、ドロリと溶けたような状態になっている事だった。

なのに、薺はその女の子に頬を寄せ笑っている。


「可愛いでしょ?ほら、椿も一緒に遊ぼう?人形遊び」

「っ~~!」


おかしいだなんて分かりきった事で、異常なのは見て分かる。

確かに人間であるのに人形だと言って愛でているこの現状。

もう既に気付いていた。押し入れを開けてからまた強くなったこの息も出来なくなる程の匂い。

これは死臭だ。彼女はもう、既に死んでいる。状態からして腐りさえしている。


「っぐ……っ!」


堪えきれずに思わず膝をついた。