何度も何度も、その手が痛もうとも。

軋む軋む壁。

何をしているか理解できない。でも、雛が雛を傷つけている。

それは僕が許せる筈もない。


「雛!ひな!」


小さな手を掴み、止めても見るのは僕の方ではなくて、僕の奥。

何を見ているのか確認する前に雛は動き始めた。


「これなら……!」


呟き、覚束無い足取りで手にとったのは放置された椅子。

それを引きずりながら先まで叩いていた壁まで持ってきて、躊躇いもなく雛はそれを壁に向かって振りかざした。

破られる板張りのバリケード。