「ありがとな。お前、めちゃめちゃ優しいな」
「そうでしょ~。ふふ。新垣先生のおかげで、親友を取り戻せたから。感謝してんだよ」
「おう。わざわざありがとう」
廊下を軽やかに走って行った戸村。
戸村が俺に恋をしていたなんてな。
知らなかったけど、そのおかげで戸村の背中を押すことができたなら、良かったのかな。
生徒から好意を寄せられるたびに、申し訳ないという気持ちになっていた。
今回は、ちょっと違う。
「ただいまから、文化祭を始めます。皆さん、校庭へ集まってください」
校内放送が流れた。
「よし・・・・・・行くか」
俺は、すがすがしい気持ちで校庭に向かって歩き出した。