「車だったらそんなに遠くないし、いつでも会えるだろ?どうしたんだよ、母さん。何かあったのか?」
先生は、コーヒーをゴクっと一口飲んだ。
「母さんも歳を取ったんだよ。許してやってくれ。いろいろ不安になることもあるんだよ」
お義父さんはそう言って、お義母さんを見た。
「そうよね、ごめんね。何だか、私らしくないわよね」
お義母さんは、無理して笑顔を作った。
それから、あまり家の話題には触れなかった。
お義母さんは元気がないように見えた。
帰り際に、思いも寄らない言葉を聞くことになる。
「直ちゃん、二世帯とか考えてみてくれない?」

