「先生の話、してもいい?」 田辺さんはキッチンでコーヒーを入れている先生のチラっと見た。 今日は、ゆっくりとコーヒーを入れている先生。 わざとだって私にはわかる。 ふたりきりにしてくれているんだよね。 「うん、いいよ」 部屋に広がるコーヒーの香り。 窓から差し込む暖かな日差し。 田辺さんのキラキラした笑顔。 辛かった日々がようやく終わった。 ホッとして、涙が出ちゃいそうだった。