「あの・・・・・・いろいろ、本当にごめんね。ごめんなさい!!」




深々と頭を下げた田辺さん。




「ううん。私も、何も知らなくて・・・・・・」






「ううん、私、ひどいこといっぱいしたよね。嫉妬深いとか言っちゃったし、本当にごめん!私の方が嫉妬深いよね。最低だった」






人ってこんなにも変われるんだとびっくりした。





しっかりと目を見て話す田辺さんは別人のようだった。






いつも何か考えているような、そんな目つきをしていた田辺さん。




今は、違う。






「先生から、聞いた?」





「うん。聞いた。実はね、私も生徒だったの。田辺さんと同じように入学式で先生のこと好きになっちゃったの。同じだね」







このこともちゃんと言おうと思えたのは、宮崎さんと戸村さんの話を聞いたから。






相手のことをわかるためには、自分もちゃんと話さなきゃいけないんじゃないか、と思えた。







「そうなの?生徒だったの?嘘~!!すごいね。禁断の恋ってヤツじゃないの?」





思わぬ反応にこっちが驚く。





「入学式は、反則だよね~!先生以外、おじさんばっかりだもんね」





田辺さんはそう言って目を輝かせて笑った。





「しかもね、先生の隣に立ってた先生は、頭ハゲてて背も低くて、余計に先生がかっこよく見えちゃったんだよ」





弾ける笑顔が眩しかった。




ずっと話したかったんだね。



誰にも言えなかったから。





誰かと、先生のことをこうして話したかったんだよね。