「妻が俺を貸すと言っても、俺は断る。俺は、妻のこと愛してるし、傷つけたくない。我慢して泣いてる姿も見たくない。だから、これからは仲良くやっていかないか?」







先生は引っ越しのことは言わなかった。




私も言わない方が良いと思った。




今は、そっとしておいた方がいいよね。






先生に想いを伝えて、田辺さんの心は軽くなったはず。




きっと、何かが変わる。







「うん。仲良くしたい。もう、先生のこと調べたり、先生に虫退治頼んだり、車に乗りたいって言ったりしないから。安心して」





「そうか。まぁ、お隣だから、本当に困った時は助けるからさ」





先生の優しい声を聞きながら、私は頬に伝う涙を拭いた。