「ありがとな。大事な高校3年間、俺のこと好きでいてくれて」





田辺さんは、涙声で答えた。




「もう、報われました・・・・・・やっと、スッキリしました」





先生の隣に引っ越して来て、良かった。



そうじゃないと、一生先生のことを引きずっていたかもしれない。



これで、前に進めるかな。







「あのね!!先生の隣の部屋をわざわざ選んだわけじゃない。不動産屋さんに連れてこられて・・・・・・思い出した。先生の部屋だって・・・・・・」




「俺の家、知ってたのか?」




「よく待ち伏せしてたから。山沖さんと一緒に。卒業してからも何度か見に来たりした。だから、先生の奥さんを見るのは初めてじゃなかった。先生に彼女がいるってことも知ってたよ」






私と付き合ってる頃にもまだ先生を待ち伏せしたりしてたんだ。





全然知らなかった。


なんだか怖い。



知らないところで、私は見られていたんだね。






「この部屋を紹介されなかったら、絶対に住まなかった。先生の近所に住むなんて考えたこともなかったから。でも、連れて来られて・・・・・・もう、めちゃめちゃ嬉しくなって・・・・・・もしここに住んだら、先生に毎日会えるんだって思ったら・・・・・・幸せで・・・・・・だめだってわかってたけど、ここに住むことにしたの」






その気持ちも痛いくらいにわかるから、何も言えないよ。





遠い存在だった先生が隣に住んでいるなんて、夢みたいだもん。