「お~~~い、直ちゃん?どうしたのかなぁ?」





「あ、私ったら」





豚の生姜焼きをお箸で挟んだまま、高校生の頃の思い出に浸ってしまっていた。







「先生はいい先生だなって思い出してたんだ」




「何だよ~!何思い出してたんだぁ?ニヤニヤしてたし」





すぐに戻れる。



あの頃に。



高校生の矢沢直に。






先生に恋していたあのキラキラした日々・・・・・・






「私、先生のことばかり目で追ってたなぁ」




「俺の知らないところで、こっそり見てたんだろぉ?」




「そうだよ。今でもきっとたくさんいるよ、そういう子」






先生は、少し困った顔をした後に、にっこり笑った。





「直ほど俺のこと見てる生徒はいないだろうな」







その時、急に胸の奥がキューっとなった。





田辺さんのことを・・・・・・考えた。