田辺さんと話すチャンスはすぐにやって来た。





その話をしている時に、久しぶりに・・・・・・



―ピンポーン



チャイムが鳴った。







「俺、出るわ」




先生が立ち上がった。




「お前も来い」




力強い先生の眼差しが、私を安心させてくれた。





「はい、何ですか?」




玄関のドアを開けた。



先生の顔を見た田辺さんは、また嬉しそうな顔をした。





「あ、ご主人帰られてたんですね~。良かった!また車がおかしくなっちゃったんですけど、見てもらえません?」






先生は、振り向いて、私を見た。




“大丈夫だから安心しろ”



そう聞こえた気がした。





「あ~、俺も車苦手ですけど・・・・・・旦那さんは?」




「出張中なんです。どうしよう・・・・・・他に頼める人もいないし・・・・・・」






先生は、もう一度私を見て、小さく頷いた。






「じゃあ、少しだけ見てみますが、直せないと思いますよ」






先生は、田辺さんと一緒に駐車場へ向かった。




私は行かない方が良い。



先生のことを好きだったとしたら、ふたりで話したいと思う。





モヤモヤするけど、私はテレビを見て、気を紛らせることにした。