「はー、緊張した。たっくんちゃんと歩けて良かった」





たっくんは教え子じゃないけど、先生にとっては教え子と同じくらいかわいい存在。




いつも先生に頼ってくれて、先生みたいになりたいと言ってくれていたもんね。







「私とお父さんが入場する時、ドキドキした?」





「そりゃ、そうだよ。お前のことも心配だったけど、お父さんがちゃんと歩けるかなって。途中でこけちゃったり、泣いちゃったりしないかと心配だった」





「あ~、お父さんならあり得るね。こけそうだよね」




「それは冗談だけど・・・・・・緊張したよ。自分の奥さんになる人でもあるんだけど、教え子でもあって、複雑な心境だった」






私、新垣直の旦那さんである新垣和人は、私の高校時代の教師。




先生は、私が入場する姿を見て、いろんなことを思い出していたんだろうな。






「申し訳ないことをしたなって思う気持ちもあったし、直のご両親に本当に感謝しないといけないなって思ったよ。俺との恋愛を許してくれたんだもんな」





「そうだね。うん・・・・・・でも、先生のおかげで、矢沢家も救われたもん」





先生のおかげで、うちの家族がひとつになれた。



先生は、俺は何もしてないって言うけど、絶対に先生のおかげなんだよ。






小声で話し続ける私達。




きっと・・・・・・話していないと泣いちゃいそうだから・・・・・・