「そりゃ、不安になるよな。うん」
先生は、何かを思い出すように天井を見上げてから、首を縦に二度振った。
「直の気持ち考えたら、なんか・・・・・・俺ってひどいなって思う」
「そんなことないよ。どうしたの?」
「だって・・・・・・よく考えたら、直のこと好きだった男ってほとんど俺は知ってるだろ?他にもいるんだろうけど。高校の頃、直を好きだった男子は俺はみんな顔も知ってるし、たっくんだって要君だって仲良くなったし。でも、直は・・・・・・そういうわけにいかないもんな」
改めてそう言ってくれると涙が出るくらい嬉しかった。
こんな私のわがままな嫉妬を理解してくれるなんて。
「見えない相手って、怖いもんな。俺だって、最初は要君は脅威だったよ」
先生は、眉を下げて笑った。
「それに、会社の大野だって、気にならないわけじゃない。沙織ちゃんとイイ感じになっているとはいえ、過去には直のこと好きだったんだもんな」
先生は本当に優しい。
嫉妬するのは直だけじゃないんだよって優しく伝えてくれているんだね。
私が気にしないように、私の心を軽くしようとしてくれる。