―先生の手紙―




ゆかりとたっくんは、翌日の夜からハワイに新婚旅行へ旅立った。





空港から電話があった。



たっくんは、先生に何度もお礼を言っていた。







「新婚旅行か~、うらやましいな」






先生は夕食後のコーヒーを飲みながら、カウンターに飾ってある新婚旅行の写真を見つめていた。




「もう一回行きたいね」




「新婚旅行って、特別だもんな。あ~、いいないいな」




子供のような先生。





「たっくんのことだから、飛行機の中でチューとかしまくってんだろぉ?」




「あははは。そうだね。してそうだね」





先生は嬉しそうに目を細めた。






「俺達は健全だったよな?」



「そうだっけ?ふふふ」




新婚旅行を思い出すとつい、盗難事件を思い出してしまう。




だけど、楽しい思い出がたくさんだよね。





一緒に歩いたあの夜の街並み。




キラキラしたイルミネーション。




忘れないよ。