「かはっ...なん、で......」 足の力が抜け、片足をついて咳き込んでいる。 「行くな、て約束守れないや」 「え...?」 眉間に皺を寄せて、辛そうな顔をする。 それを気にせずに、扉が開いているのを確認する。 肩にそっと手を置く。 辛くて話せないのか、椎は首だけ振って『行くな』と言う。 そんな顔しないで。 椎には似合わないよ。 ――――ドンッ エレベーターの中へ、強い力で椎を押す。