「名前ねぇー……」 今日もバイト娘の私は、頬杖を付きながら、いつもと同じ打席に立つ彼をボンヤリと見つめている。 今日も目が合った瞬間、ペコリと会釈をされた私。 いや、嬉しかったんだけど……。 まるでこの前の数時間が嘘だったんじゃないかって思うくらい、今まで通り。 あーあ。これじゃーすっかり元通りの“会釈仲間”だ。 「つまんなーい」 もうこうなると宿題なんてやる気も起きなくて、頬っぺたを膨らませながら呟いた私は、残りの数時間、佐野さんが心配するくらい黙々とバイトをこなした。