「………ふーん……」





私は木の陰から顔を紅く染めて、唇を手で押さえて座り込んでいる桜木鈴乃を見ながら、呟く。



翔と二人で誰もいない廊下で話してるから…、ずっと見てたら…キス、してるし。



何で…?




翔に一番近い女の子は、あたしだと思ってたのに…!



翔が、凄く…、遠く感じる。





「…許さない。桜木鈴乃も、翔も…」




あたしはポケットから携帯を取り出すと、【黒須】という名前を出した。




≪プルルルル プルルルル …≫



二回コールが鳴ったところで、【黒須】は出た。




≪はい≫



「黒須、例の事…実行、頼むわ」



≪…かしこまりました。お嬢様≫



それだけ話すと、私は電話を切った。




「…みてなさいよ…。私を裏切ったことを、後悔させてやるんだからっ…!」