遠くから、人の声が聞こえたような気がした。 それを区切りに、俺はそっと鈴乃の唇から自分の唇を離した。 「泣いてた理由は…聞かねーけど。…何かあったら、言えよ。じゃーな」 俺はそれだけ言うと、鈴乃の頭に、ポンと手を乗せて、玄関のほうへ歩き出した。 「…何か、やな予感がする…」 俺は靴を履きかえながら、ポツリと一人で呟いた。 胸騒ぎっていうんだろうか? 心がざわつく…