「鈴乃!」 俯いて座り込んでいること、数分。 もう誰もいなくなった静まり返った廊下に、聞きなれたあいつの声が響き渡る。 「…」 私は何も言わず立ち上がって、歩き出す。 無視、しなきゃいけない。 それに、今、私――… 「待てよ…!」 ぐいっ その声と同時に、腕を引っ張られた。