「おい、莉亜。…お前、鈴乃に何て言ったんだ?」 戻ってきてまた腕を絡ませようとした花咲さんをさりげなく回避して、翔が訪ねる。 「別に、なーんにもっ♪ ね、桜木さんっ!」 「…うん。何もない。じゃ、私もうお邪魔みたいだから行くね」 「ちょ、鈴乃っ…」 翔が後ろで私の名前を呼んでいたような気がするけど、無視。 …翔の嘘、つき。 『彼女じゃない』って言ったくせに。 婚約者なんて、 彼女より、上の存在じゃん。