――…
一年前 *鈴乃side*
「鈴乃~っ!! 受賞おめでとー☆」
「ぁ、ありがとっ、美菜」
一年前。
高1だった私は、文化祭が終わって、美菜と一緒に教室へ向かうところだった。
「そういえばさ~、あの受賞者の神崎翔くん! さすが王子様、超カッコ良かった~!」
「えー、そう? てか、王子様って何?」
「えぇ!? 鈴乃知らないの!? 話したことなかったけ?!」
「うん」
「あのねぇ、神崎翔くんってのは、1年から先輩まで、入学してからまだそんなに経ってないのに、莫大な人気を誇るこの学校の王子様なんだよ!? 成績優秀・イケメン・スポーツ万能・しっかり者の学級委員で生徒会長候補!! 王子を知らないなんて、ほんとこーゆーのうといよね、鈴乃は」
「へ~ぇ」
イケメン好きの美菜の大演説をサラッと耳に通して、私は答える。
そんなにカッコ良かったけ、その、神崎翔、って人。



