「…い、おいっ、鈴乃!」 翔が私の名前を呼びながら肩を叩いたところで、私は思考回路から現実に引き戻された。 「え、あ、ごめん、何っ?」 「どーしたんだよ、ぼーっとして。大丈夫か?」 「…うん。平気」 「なら、いーけど。ここ、お前ん家だろ? 【桜木】って表札に書いてある」 翔に言われて、やっと気づいた。 目の前には、自分の家。 いつの間に…着いてたんだ。