俺様王子のお気に入り





「鈴乃? 何でお前隣来ねーの?」




何にもわかってない翔は、後ろを振り返って私に尋ねる。



…何でわかんないのよ。




「女の子たちに見られると、また面倒なことになるでしょ。だから、隣は歩かない…」
「何だ、そんなことが理由かよ。いーから、隣来いって」



私の言葉を遮ったと思ったら、ぐいっと手を引っ張って私を無理やり隣に来させる翔。



“そんなこと”とは何よ、“そんなこと”とは!!!



せっかくの私の気遣いを、“そんなこと”よばわりかよ!




…みたいな感じで、心の中でブツブツぼやいていると。




「翔と…桜木さん?! 何で一緒に帰ってるの~!!?」




と、複数の女子の声。



……げ。



隣に並ばされたこと…すっかり忘れてた。