「やー、今日も翔くん、カッコ良かったよねー」
道着から制服に着替えていると、隣で剣道部で仲が良い夏季、通称なっちゃんがそう言う。
「えー、そうかぁ?」
「超カッコいいじゃん!! ほらー、王子ってさー、テニスとかサッカーとかやりそうだけど、そこじゃなく剣道ってところがまたカッコいい! それに強いし! ギャップっていうの?」
「まー、剣道っつーのは意外だったけど…」
私も、翔は、テニスとかサッカーとか、そのへんだと思ってた。
毎日のように『翔、部活何に入るのー?!』『翔くん、部活何に入るんですかぁ?』と、すっごい数の女子に聞かれまくってた翔。
でも、翔は、「考え中なんだ」とか言って曖昧に誤魔化してた。
結局、女子たちは翔に教えてもらえず、入りそうな“テニス”に入って、翔を待ち構えていた…んだけど。
翔は…みんなが予想してもいなかった剣道に入った。



