俺様王子のお気に入り





頬を膨らませて怒っていると思ったら、何かを見て美菜はパッと瞳を輝かせた。



何だ?




「あー!! 翔くんが歩いてきてる~っ! やっぱ言いなさいっていう神様のご命令だよ。さ、行こ行こ」



「はっ!? ちょっ、美菜ぁ!」




ガタンと椅子を立って廊下へ走ってゆく美菜を、私も食べかけの焼きそばパンを袋の上において、慌てて追いかける。



何かと思ったら…翔かいっ!!




「王子…じゃなかった翔くん!」



「呼ぶなこらっ!!」



そう言って美菜の口を塞いだときにはもう遅し。




美菜の声に気付いた翔は、こちらへ歩いてきた。