「何で、翔が出てくるの…」
「だって、鈴乃と同じ剣道部だし、帰る方向も一緒じゃない! どうせこの前熱で保健室まで運んでもらったお礼も、まだ言ってないんでしょ? なら、お礼言うついでにこの話もしちゃえ!!」
美菜はにっこりと笑うと、私にウインクした。
ほんとに、真剣なんだろうか、これで…。
まぁ、でも確かに美菜の言うとおり、お礼は言ってない。
だって、あの日保健室で目が覚めたら、保健の先生に『神崎くんが運んでくれたのよ』って言われて。
それからすぐお母さん来て、早退して。
昨日までの二日間、私休んでて…というか欠席してて、今日学校来たばかりなんだもん。
朝は会わなかったし。部活の時に言おうかなーと思ってたんだけど。
「確かにお礼は言ってないけど、この話は言わないよ」
「えー!? 何で? 言おうよー」
頬を小さく膨らませて、ぶつぶつ言っている美菜。
…可愛いけど、言わないもんね。



