未だに状況が把握しきれず、停止したままの私の思考は、扉が“バタン”と閉まった音で再び動き出した。 「……っ」 ハッとした私は、無意識に自分の手の甲を唇に押し当てる。 その硬さのせいで、余計に強調される、春希の唇の柔かさ。 春希……。 顔は笑っていたけど、怒ってた? ううん。 怒ってはいない。 ――だけど。 「あーもーっ!!……何してんの、私」 大きすぎる後悔から、大声を出したて頭を抱えた私は、再びベッドに倒れ込む羽目になった。