ハッと振り返り、聖月を見た。

『そなたの欲望が叶う時、鬼の呪縛も解けるであろう』
『それまでの永き時を、苦しみながらさ迷うがよい』


そう言い捨てて、満足そうな恍惚の表情のまま、サラサラと砂になって崩れていく。


「聖月!」


数秒後、聖月は消えて無くなった。


後には雪路の骸と鬼の姿をした俺が残った。


とりあえず、雪路を葬ろう。


この祠に祀ろうか。


雪路が死んだのは、聖月の言葉を受け入れた俺のせいだ。


雪路は『生け贄』同然の死に方だった。