めがねくん、めがねちゃん、と私たちは呼び合う。




彼の名前は知らない。



彼も、私の名前は知らない。




数カ月前の昼休み、外の風を浴びたくて出た屋上で、めがねくんに出会った。

お互い、なんとなく名前を聞かないまま、めがねくん、めがねちゃん、と何故か呼び合っている。


同じ学校ならばったりと校舎で会いそうだが、在校生が1000人以上いるこの高校では、実際はなかなか会うことがない。

私はめがねくんが何年生かも知らないし、めがねくんも私が何年生か知らないと思う。

なんとなく聞いてはいけないような、聞いたらなにかが壊れてしまいそうな気がして、そのまま彼との交友を続けている。



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