僕はピエロ



ピエロは突然
右手を後ろに回すと
ヒョイっと風船を出してみせた


周りに居た人は
驚いて拍手をしたが
子供は風船を見ると眉間にシワを寄せた。


「…ホントにピエロは
知っているの?」


「もちろん」


「…ボクは悪くない…」


また涙を目に溜めて
苦しそうに呟いた。


「君は女の子の風船が飛んで行きそうな
ところを取ってあげたんだよね。」


「…う゛ん」


ポタポタと落とす、
大きな涙の粒。


「それを女の子は
`風船を盗られた'と思ったんだよね。
見ていなかった君のママは
君を叱った。`悪い子だ'と」


全てを話し終えると
子供はまた、大きな声で泣き出した。