なおかつそのロボット達に、共犯者になるリスクを越えるメリットを与えると同時に、『姿無き恋の野獣』に対して逆らう事への罪悪感まで植え付けることが出来る…

いえ、すでにロボット達の中には、その共犯者になる行為自体が、自分の意志でやったものだから、『姿無き恋の野獣』に逆らう事自体が、お門違いとまで思ってしまっている人もいるかもしれない。」

「メリット?罪悪感!?」

「その力は心、アンタがとても嫌っている力…

丁度今から一年前、心がその力をこっぴどく罵り、その力を持ったそいつの愛の告白を断った…

…そいつが、心を苦しめた犯人、『姿無き恋の野獣』!」

そう言い終わると、圭子は、血塗れになったナイフを右手に握りしめ、ゆっくりと、その『姿無き恋の野獣』目掛けて歩き出した。



そして圭子は、ある人物の前で止まった。

その人物を見て、心は激しい衝撃を受けた。

「け、圭子まさかそいつが…」