恐らく、私の為に命を奪われたマルミの敵も討たないといけないから、今は、彼の言葉を信じるしかない!」

心は、不安な気持ちをぐっとこらえ、『姿無き恋の野獣』に立ち向かう決意を固めた。

しかし、『姿無き恋の野獣』の陰険さは、そんな心の決心を、いとも簡単に打ち砕いてしまった。
そして、やはり心の可愛がっていたマルミをむごたらしく殺した犯人は、『姿無き恋の野獣』であった事が、翌日判明した。

次の日の、週一回行われるパソコンの授業で、その事件は起こった。

-…ここしか席が開いていない…圭子の隣が良かったのに。-


「イタッ!ちょっと気を付けろよテメエ!どこ見てんだよ!」

ぼけっとしていた心は、パソコンの授業で使う為の、USBフラッシュメモリを受け取って空いている席を探している途中(授業用に学生ごとに与えられている物で、ウイルス感染を防ぐ為、教室の隅に置かれた木箱の中で一括管理されている。)、由子とぶつかった。