私は手紙を胸に押さえて泣き崩れた。そこはまるであっちゃんが居るみたいに暖かい。



『あっちゃん………あっちゃんっ……』



私も大好きだった。大人になってもずっと側に居て欲しかったよ。

そんな私を見てナツメが何かを差し出す。それはハンカチではなく一枚の便箋。



『わたくしは手紙を届ける代わりにその返事を受けとる事が出来ます。勿論、これは強制ではございません』


『………………』


『貴方が返事を書くならばそれは必ず條原様へ届けます。しかし書かなければ私の仕事はここで終わりです。いかがなさいますか?』


白い便箋は一枚だけ。小さく書いても200文字程度。

その中で私はどれだけあっちゃんに伝えられるだろう。きっとその返事は手紙だけじゃなくこれからの私自身なのかもしれない。



『書きます、だから必ずあっちゃんに渡して下さい』


私はナツメから便箋を受け取り、あっちゃんに返事を書き始めた。


-----------------條原敦也様へ。

そう固い書き出しの理由は幼なじみではなく、私の大切な人へ送る最初で最後の手紙だから。