息吹が正座をしてじっと待っていると、晴明が牛車に戻って来た。
主さまも晴明もさっきは一触即発状態だったので、無表情の晴明の袖を握った息吹は必死の形相で主さまを庇った。
「父様…主さまに何かしたの?私本当に何もされてないから…主さまに痛いことしたの?主さま怪我しちゃったの?」
「息吹…」
息吹を膝に乗せてやわらかく抱きしめた晴明は、恐らく今夜…いや、明け方までには少女から女に変わってしまうであろう愛娘の髪を撫でて、耳元でこそりと囁いた。
「傷つけはしないよ。息吹…私は今夜屋敷を留守にする。そして、後で十六夜がそなたに会いに来るだろう。父様にはもう十六夜を止めることは出来ぬようだ」
「…?父様、言ってる意味がわかんない。どこに行くの?主さまはどうして私に会いに来るの?百鬼夜行は…」
「百鬼夜行の前に会いに来るだろう。私は…山姫に会いに行く。意味がわからぬならそれでいい」
――息吹はその言葉の意味をしばらく考えた。
牛車が幽玄橋を渡り、街中を通り、屋敷に着く直前になってようやく答えが出て、興奮して晴明の袖を何度も全力で引っ張った。
「母様をお嫁さんに迎えに行くのっ!?母様は私の本当の母様になるのっ!?」
「そうなるといいんだけどねえ。父様はね、今夜山姫の部屋に夜這いを仕掛けに行くんだよ」
「えっ!?よ、夜這いって…っ」
「山姫を連れて帰ってくることができたら祝っておくれ。もし1人で帰ってきたら…父様は山姫を諦めるよ。潔くね」
…あまりにも男気のある晴明の夜這い作戦に顔が真っ赤になってしまった息吹が身悶えしていると、晴明はまた息吹をぎゅっと抱きしめてぼそりと独りごちた。
「ああ…まだ手放したくはないが…仕方あるまい」
「?父様?」
「なんでもないよ。さあ着いたよ、一条帝もいらっしゃるからそなたの美味しい茶を淹れて差し上げなさい」
「はいっ」
牛車から降りて屋敷の門を潜ると、庭で遊んでいた相模が駆け寄ってきていきなり抱き着いてきた。
「息吹!無事で本当に良かった!」
「相模…うん、私は大丈夫。相模たちも怖かったでしょ?本当にごめんね」
縁側には一条天皇と萌が仲睦まじく話している姿が在った。
とても嬉しくなって、萌に駆け寄った。
主さまも晴明もさっきは一触即発状態だったので、無表情の晴明の袖を握った息吹は必死の形相で主さまを庇った。
「父様…主さまに何かしたの?私本当に何もされてないから…主さまに痛いことしたの?主さま怪我しちゃったの?」
「息吹…」
息吹を膝に乗せてやわらかく抱きしめた晴明は、恐らく今夜…いや、明け方までには少女から女に変わってしまうであろう愛娘の髪を撫でて、耳元でこそりと囁いた。
「傷つけはしないよ。息吹…私は今夜屋敷を留守にする。そして、後で十六夜がそなたに会いに来るだろう。父様にはもう十六夜を止めることは出来ぬようだ」
「…?父様、言ってる意味がわかんない。どこに行くの?主さまはどうして私に会いに来るの?百鬼夜行は…」
「百鬼夜行の前に会いに来るだろう。私は…山姫に会いに行く。意味がわからぬならそれでいい」
――息吹はその言葉の意味をしばらく考えた。
牛車が幽玄橋を渡り、街中を通り、屋敷に着く直前になってようやく答えが出て、興奮して晴明の袖を何度も全力で引っ張った。
「母様をお嫁さんに迎えに行くのっ!?母様は私の本当の母様になるのっ!?」
「そうなるといいんだけどねえ。父様はね、今夜山姫の部屋に夜這いを仕掛けに行くんだよ」
「えっ!?よ、夜這いって…っ」
「山姫を連れて帰ってくることができたら祝っておくれ。もし1人で帰ってきたら…父様は山姫を諦めるよ。潔くね」
…あまりにも男気のある晴明の夜這い作戦に顔が真っ赤になってしまった息吹が身悶えしていると、晴明はまた息吹をぎゅっと抱きしめてぼそりと独りごちた。
「ああ…まだ手放したくはないが…仕方あるまい」
「?父様?」
「なんでもないよ。さあ着いたよ、一条帝もいらっしゃるからそなたの美味しい茶を淹れて差し上げなさい」
「はいっ」
牛車から降りて屋敷の門を潜ると、庭で遊んでいた相模が駆け寄ってきていきなり抱き着いてきた。
「息吹!無事で本当に良かった!」
「相模…うん、私は大丈夫。相模たちも怖かったでしょ?本当にごめんね」
縁側には一条天皇と萌が仲睦まじく話している姿が在った。
とても嬉しくなって、萌に駆け寄った。

