その頃主さまと裏庭の竹林を散歩していた息吹は、涼しい風を気持ちよさそうに浴びながら大きくなった筍のてっぺんを撫でた。
「毎日晴明様の母様のお墓に行くんだけど、この竹林広すぎていっつも迷子になりそうなの。主さまは?」
「葛の葉の匂いがするからわかる。それよりも…こんな緩い結界で平気なのか?」
主さまの瞳にははっきりと晴明が張った結界が映っており、晴明にしては手を抜いた結界の有様に眉をひそめた。
だが息吹は晴明に全幅の信頼を寄せているので心配している様子は全くなく、むしろ主さまは叱られてしまった。
「ここは晴明様のお屋敷なんだよ?今まで悪さする妖とか人は入って来たことないんだから」
「…」
せっかく2人きりになったというのに口を開けば“晴明自慢”ばかりの息吹にいらっときた主さまは、突然息吹の手を引いて立ち止まらせた。
「主さま?」
「晴明の話ばかりするな。お前は今誰と居るんだ?俺は誰に会いに来た?」
問うとすぐにぽっと頬が赤くなり、さらに強く腕を引っ張って胸に抱き寄せると、身体に腕を回してきた。
「主さま…父様に見られちゃうよ」
「これ位なんだ。それより息吹…あの餓鬼に色目を使われても無視しろ。萌にも極力干渉をするな。いいな?」
強く言い聞かせたつもりなのだが、何故か息吹が肩で笑っているのでまた眉をひそめると、顔を上げた息吹は心底おかしそうに笑っていた。
「?」
「主さまがやきもち妬いてる。嬉しい」
「…」
だんだんもやもやむらむらしてきた主さまが息吹の顎に手をかけて上向かせようとした時、屋敷の方角から笛の音が聴こえた。
時々余興にと晴明が笛を吹くことがあるのだが、滅多に聴くことができない代物なので、息吹の瞳がかっと見開かれると主さまの手を振り払って小走りに駆けだした。
「父様の笛!早く戻らなくちゃ終わっちゃう!主さまも早く早くっ」
「…」
せっかくいい雰囲気だったのに…
あからさまにがっかりしてみせたのだが興奮した息吹には何も見えていないらしく、立ち止まっている主さまを置き去りにしてさっさと屋敷へ戻ってしまい、がっくり。
「父離れに子離れ…両方一生できそうにないな」
正解。
「毎日晴明様の母様のお墓に行くんだけど、この竹林広すぎていっつも迷子になりそうなの。主さまは?」
「葛の葉の匂いがするからわかる。それよりも…こんな緩い結界で平気なのか?」
主さまの瞳にははっきりと晴明が張った結界が映っており、晴明にしては手を抜いた結界の有様に眉をひそめた。
だが息吹は晴明に全幅の信頼を寄せているので心配している様子は全くなく、むしろ主さまは叱られてしまった。
「ここは晴明様のお屋敷なんだよ?今まで悪さする妖とか人は入って来たことないんだから」
「…」
せっかく2人きりになったというのに口を開けば“晴明自慢”ばかりの息吹にいらっときた主さまは、突然息吹の手を引いて立ち止まらせた。
「主さま?」
「晴明の話ばかりするな。お前は今誰と居るんだ?俺は誰に会いに来た?」
問うとすぐにぽっと頬が赤くなり、さらに強く腕を引っ張って胸に抱き寄せると、身体に腕を回してきた。
「主さま…父様に見られちゃうよ」
「これ位なんだ。それより息吹…あの餓鬼に色目を使われても無視しろ。萌にも極力干渉をするな。いいな?」
強く言い聞かせたつもりなのだが、何故か息吹が肩で笑っているのでまた眉をひそめると、顔を上げた息吹は心底おかしそうに笑っていた。
「?」
「主さまがやきもち妬いてる。嬉しい」
「…」
だんだんもやもやむらむらしてきた主さまが息吹の顎に手をかけて上向かせようとした時、屋敷の方角から笛の音が聴こえた。
時々余興にと晴明が笛を吹くことがあるのだが、滅多に聴くことができない代物なので、息吹の瞳がかっと見開かれると主さまの手を振り払って小走りに駆けだした。
「父様の笛!早く戻らなくちゃ終わっちゃう!主さまも早く早くっ」
「…」
せっかくいい雰囲気だったのに…
あからさまにがっかりしてみせたのだが興奮した息吹には何も見えていないらしく、立ち止まっている主さまを置き去りにしてさっさと屋敷へ戻ってしまい、がっくり。
「父離れに子離れ…両方一生できそうにないな」
正解。

