息吹の表情が急に曇ったので、自分の話が原因だと考えた主さまは煙管を懐に戻すと、赤子を息吹に手渡した。
「…どうした?」
「ううん…なんでも…ないよ…」
「嘘をつくな。銀がどうかしたのか?」
「…追われてるって…誰から?」
「さあ、聴いてはいないが。どうせ悪戯でもして誰かを困らせたんだろう」
慰めたつもりだったのだが…息吹の表情は変わらず、膝の上の赤子に髪を終始撫で、俯いていた。
いつも元気な息吹に元気がないと主さまも調子が狂い、気になってそわそわしてしまう。
なので息吹の膝から赤子を奪い取ってゆっくりと縁側に置くと、腕を伸ばして自分の膝に息吹を乗せて顔を覗き込んだ。
「ぬ、主さま?」
「またよからぬことを考えているということだけはわかる。言ってみろ。どうした?」
だんだん顔が近付いてくるので、ただ黙っているわけにもいかなくなった息吹は主さまの頬を押して遠ざけながら必死に言い訳をした。
「なんでもないってばっ!ちょっといやな夢見ちゃっただけだから。心配かけちゃってごめんなさい」
「…そうか。わかった」
――そんな嘘に騙されるわけがなかったが、息吹がそう突っぱねるのなら無理強いしても無駄だろう。
息吹と喧嘩もしたくないし、どちらかといえば…いちゃいちゃしたい。
そんな願いを口に出せるわけもなく、主さまは息吹の髪を撫でてじっと見つめ合った。
「何かあったらすぐに話せ。悩み事も笑わず聴いてやる」
「うん…ありがと。そろそろ母様が起きてくるから見られたらいけないし、降りるね」
主さまの膝から降りて草履を履くと、手桶に水を溜めて庭の花に水遣りをはじめた。
そして銀からもらった花の種を植えた場所に小さな緑の芽が出ているのを見た息吹は歓声を上げて主さまを振り返った。
「主さま!芽が出てる!数日で咲くって言ってたけどすごいすごいっ」
「…眠たい…」
寝るのが大好きな主さまは太陽の光を浴びて瞳を細めた。
こうして息吹と過ごす時間を持てるのは日中だけ。
成長した息吹と再会してからこっち、睡眠時間がかなり減ったが…楽しみは増えた。
主さまは縁側にごろりと寝そべると肘をついて頭を支えながらちょこまかと動き回る息吹を眺めた。
花を眺めるふりをして、息吹を見つめていた。
「…どうした?」
「ううん…なんでも…ないよ…」
「嘘をつくな。銀がどうかしたのか?」
「…追われてるって…誰から?」
「さあ、聴いてはいないが。どうせ悪戯でもして誰かを困らせたんだろう」
慰めたつもりだったのだが…息吹の表情は変わらず、膝の上の赤子に髪を終始撫で、俯いていた。
いつも元気な息吹に元気がないと主さまも調子が狂い、気になってそわそわしてしまう。
なので息吹の膝から赤子を奪い取ってゆっくりと縁側に置くと、腕を伸ばして自分の膝に息吹を乗せて顔を覗き込んだ。
「ぬ、主さま?」
「またよからぬことを考えているということだけはわかる。言ってみろ。どうした?」
だんだん顔が近付いてくるので、ただ黙っているわけにもいかなくなった息吹は主さまの頬を押して遠ざけながら必死に言い訳をした。
「なんでもないってばっ!ちょっといやな夢見ちゃっただけだから。心配かけちゃってごめんなさい」
「…そうか。わかった」
――そんな嘘に騙されるわけがなかったが、息吹がそう突っぱねるのなら無理強いしても無駄だろう。
息吹と喧嘩もしたくないし、どちらかといえば…いちゃいちゃしたい。
そんな願いを口に出せるわけもなく、主さまは息吹の髪を撫でてじっと見つめ合った。
「何かあったらすぐに話せ。悩み事も笑わず聴いてやる」
「うん…ありがと。そろそろ母様が起きてくるから見られたらいけないし、降りるね」
主さまの膝から降りて草履を履くと、手桶に水を溜めて庭の花に水遣りをはじめた。
そして銀からもらった花の種を植えた場所に小さな緑の芽が出ているのを見た息吹は歓声を上げて主さまを振り返った。
「主さま!芽が出てる!数日で咲くって言ってたけどすごいすごいっ」
「…眠たい…」
寝るのが大好きな主さまは太陽の光を浴びて瞳を細めた。
こうして息吹と過ごす時間を持てるのは日中だけ。
成長した息吹と再会してからこっち、睡眠時間がかなり減ったが…楽しみは増えた。
主さまは縁側にごろりと寝そべると肘をついて頭を支えながらちょこまかと動き回る息吹を眺めた。
花を眺めるふりをして、息吹を見つめていた。

