山姫たちと夕餉を食べ、主さまの部屋で赤子をあやしているうちにうとうとしてしまった。
また赤子も一切泣かず、山姫たちは主さまが不在でも主さまの部屋には入って来ないので誰にも邪魔されずに惰眠を貪っていると、主が戻ってきた。
「寝てるのか」
「ん……主さま…?」
「寝ていていい」
せっかく早く帰って来てくれたのに寝ているのは勿体なくて息吹がむくりと起き上がると、主さまは目の前で着替え始めてしまった。
最初はそれをぼーっと見ていたが、闇の中でぼんやりと主さまの白い上体が見えると慌てて背中を向けて正座した。
「ちょ…いきなり着替えないで!」
「ここは俺の部屋だぞ。それにお前…何か匂いがするな。いやな匂いだ。…なんだ?」
ぎくっとなって答えずにいると、主さまが背後に腰かけた気配がして首筋に息がかかった。
「きゃ…っ」
「…法力の匂いだ。お前…僧に会ったな?」
「…ごめんなさい…でもっ、空海さんはいいお坊様なの。だから主さま…お願い…」
「…鬼八の時にも同じことを言ったぞ。少しは疑うことを覚えろ」
主さまに呆れられ、ついでにため息もつかれてしまうと、赤子を床に置いた息吹は主さまの手をぎゅっと握ってじっと見つめた。
「ごめんね主さま。空海さんは誰かを捜してるみたいなの。見つけたら幽玄町には来ないって言ってたよ。それまでは私…」
「勝手にしろ。あと…手を離せ」
握っている手がだんだん熱くなっていることに気付いてはいたが、敢えて手を離さなかった息吹は自身の膝をぽんぽんと叩くと主さまを促した。
「膝枕してあげる。疲れたでしょ?今日もお勤めご苦労様でした」
「………ああ。あと…その…」
「?なあに?」
横になって息吹の膝枕にあやかると、主さまは言いにくそうに口をもごもごさせていたが、今度は自ら息吹の手を握ると下から見上げた。
「今夜は俺の部屋に泊まるだろう?」
「え…」
もちろん変な意味ではないのだろうが、口ごもられるとそれが伝染してしまい、息吹は主さまの瞳に揺らめく青白い炎に見入られながら、ゆっくりと頷いた。
「うん…。あちこち触らないでね」
「触るに決まっている。それ位大目に見ろ」
「主さまの助平」
なんと言われようと、この好機を逃す手はなかった。
また赤子も一切泣かず、山姫たちは主さまが不在でも主さまの部屋には入って来ないので誰にも邪魔されずに惰眠を貪っていると、主が戻ってきた。
「寝てるのか」
「ん……主さま…?」
「寝ていていい」
せっかく早く帰って来てくれたのに寝ているのは勿体なくて息吹がむくりと起き上がると、主さまは目の前で着替え始めてしまった。
最初はそれをぼーっと見ていたが、闇の中でぼんやりと主さまの白い上体が見えると慌てて背中を向けて正座した。
「ちょ…いきなり着替えないで!」
「ここは俺の部屋だぞ。それにお前…何か匂いがするな。いやな匂いだ。…なんだ?」
ぎくっとなって答えずにいると、主さまが背後に腰かけた気配がして首筋に息がかかった。
「きゃ…っ」
「…法力の匂いだ。お前…僧に会ったな?」
「…ごめんなさい…でもっ、空海さんはいいお坊様なの。だから主さま…お願い…」
「…鬼八の時にも同じことを言ったぞ。少しは疑うことを覚えろ」
主さまに呆れられ、ついでにため息もつかれてしまうと、赤子を床に置いた息吹は主さまの手をぎゅっと握ってじっと見つめた。
「ごめんね主さま。空海さんは誰かを捜してるみたいなの。見つけたら幽玄町には来ないって言ってたよ。それまでは私…」
「勝手にしろ。あと…手を離せ」
握っている手がだんだん熱くなっていることに気付いてはいたが、敢えて手を離さなかった息吹は自身の膝をぽんぽんと叩くと主さまを促した。
「膝枕してあげる。疲れたでしょ?今日もお勤めご苦労様でした」
「………ああ。あと…その…」
「?なあに?」
横になって息吹の膝枕にあやかると、主さまは言いにくそうに口をもごもごさせていたが、今度は自ら息吹の手を握ると下から見上げた。
「今夜は俺の部屋に泊まるだろう?」
「え…」
もちろん変な意味ではないのだろうが、口ごもられるとそれが伝染してしまい、息吹は主さまの瞳に揺らめく青白い炎に見入られながら、ゆっくりと頷いた。
「うん…。あちこち触らないでね」
「触るに決まっている。それ位大目に見ろ」
「主さまの助平」
なんと言われようと、この好機を逃す手はなかった。

