朝起きると赤子が隣で眠っている…
そんなことをとても幸せに感じて、起きていた赤子のぷにぷにの頬を突いていると、晴明がひょっこりと顔を出した。
「息吹、いいかな?」
「父様?おはようございます、まだ早いのに…どうしたの?」
「ああ、人相書きを描いたので見てもらおうと思ってね。ちなみに息吹…赤子は夜間にも乳をあげなければならないのだよ。知らなかっただろう?」
「え!?じゃあ…」
「私があげておいたよ。そなたから離して泣き叫ぶかと思ったら乳に目が眩んでそれどころではなかったようだ。どれどれ」
傍らに座った晴明が赤子を抱っこする手さばきは手慣れたもので、感心してみていると、赤子が嬉しそうに脚をばたつかせた。
なんだか対抗心が燃え上がった息吹は腕を伸ばして赤子を半ば強奪するようにして抱っこすると、いそいそと立ち上がった。
「私、もう行って来ますっ。その人相書き、平安町に貼るんでしょ?この子とお別れする日がすぐ来るかもしれないからそれまで可愛がって…」
「息吹。その子はそなたの子ではない。一時的に預かっているだけなのだから、それを心に留めておくように」
「…はい…」
――しゅんとなってしまった息吹に肩を竦めた晴明がぽんぽんと肩を優しく叩いて部屋から出てゆくと、1度床に赤子を下ろした息吹は浴衣から藤色の着物に着替え、無人の牛車に乗り込むと幽玄町に向かった。
主さまはそろそろ百鬼夜行から帰ってくるはず。
幽玄町に着くまで息吹は無言で、きゃっきゃと声を上げる赤子を胸に抱きしめると牛車は赤鬼と青鬼の前で1度止まり、御簾を上げて中を覗き込んできた青鬼が赤子を見て目を真ん丸にした。
「息吹…お前がそれを預かっているのか?」
「うん、銀さんにお願いしたの。父様が人相書きを描いてくれたから…すぐ親御が見つかるはずなの。…私、行くね」
元気のない息吹を心配しつつも何も言わずに手を振って牛車を通した2匹は顔を見合わせて見送った。
そして息吹は眠っている主さまの部屋に勝手に乱入すると、赤子を床に下ろしてずっと黙り込んでいた。
主さまはそれに気付いて狸寝入りをしていたが、敢えて何も聴かず、寝たふりを続けた。
そんなことをとても幸せに感じて、起きていた赤子のぷにぷにの頬を突いていると、晴明がひょっこりと顔を出した。
「息吹、いいかな?」
「父様?おはようございます、まだ早いのに…どうしたの?」
「ああ、人相書きを描いたので見てもらおうと思ってね。ちなみに息吹…赤子は夜間にも乳をあげなければならないのだよ。知らなかっただろう?」
「え!?じゃあ…」
「私があげておいたよ。そなたから離して泣き叫ぶかと思ったら乳に目が眩んでそれどころではなかったようだ。どれどれ」
傍らに座った晴明が赤子を抱っこする手さばきは手慣れたもので、感心してみていると、赤子が嬉しそうに脚をばたつかせた。
なんだか対抗心が燃え上がった息吹は腕を伸ばして赤子を半ば強奪するようにして抱っこすると、いそいそと立ち上がった。
「私、もう行って来ますっ。その人相書き、平安町に貼るんでしょ?この子とお別れする日がすぐ来るかもしれないからそれまで可愛がって…」
「息吹。その子はそなたの子ではない。一時的に預かっているだけなのだから、それを心に留めておくように」
「…はい…」
――しゅんとなってしまった息吹に肩を竦めた晴明がぽんぽんと肩を優しく叩いて部屋から出てゆくと、1度床に赤子を下ろした息吹は浴衣から藤色の着物に着替え、無人の牛車に乗り込むと幽玄町に向かった。
主さまはそろそろ百鬼夜行から帰ってくるはず。
幽玄町に着くまで息吹は無言で、きゃっきゃと声を上げる赤子を胸に抱きしめると牛車は赤鬼と青鬼の前で1度止まり、御簾を上げて中を覗き込んできた青鬼が赤子を見て目を真ん丸にした。
「息吹…お前がそれを預かっているのか?」
「うん、銀さんにお願いしたの。父様が人相書きを描いてくれたから…すぐ親御が見つかるはずなの。…私、行くね」
元気のない息吹を心配しつつも何も言わずに手を振って牛車を通した2匹は顔を見合わせて見送った。
そして息吹は眠っている主さまの部屋に勝手に乱入すると、赤子を床に下ろしてずっと黙り込んでいた。
主さまはそれに気付いて狸寝入りをしていたが、敢えて何も聴かず、寝たふりを続けた。

