求婚されてどぎまぎしてしまうと、雪男もどぎまぎしながら息吹の頬をつねった。
「ま、まあそういうことだからっ。主さまとばっか一緒に居るといじけるからな。俺とも遊べよな」
「う、うん。雪ちゃんやだ、はーなーしーてーっ!」
「やだね。もうちょっと触ってたいし」
恥ずかしがりながらも素直に想いを口にすると、背後からくすくすと笑う声が聴こえ、息吹が慌てて膝から下りた。
「主さまのものにべたべた触ると殺されるわよ、気を付けなさいな」
「か、母さん!でも俺宣戦布告してるし。息吹が主さまを選ぶとは限らないだろ」
雪男が反論すると、母の雪女と山姫が顔を見合わせ、爆笑。
ますます雪男の頬は膨れ、団扇で息吹の頭を軽くはたいた。
「な、そうだろ?」
「え…、う、うん、そう…だね。あっ、私お花に水を撒いて来ますっ」
会話を逸らしたい息吹が草履を履いて庭に下りると、主さまが自室からのそりと出てきて雪男、緊張。
「主さま…まだ朝だぜ、寝てた方が…」
「子供扱いするな。それよりさっき俺のものに何をしていた?」
――普段は何にも執着せず常に無表情の主さまだが、息吹が絡むと豹変する。
現に今も返答を間違えば刀を向けて来そうな殺気を放ち、雪男は身構えながら庭に下りた。
「俺と主さまの立場は同じはず。俺だって…息吹を嫁さんにしたいんだ。脅されたって負けねえからっ」
「…別に脅してない。からかっただけだ」
「嘘つけ」
「あっ、主さまっ」
息吹が水を撒きながらも目敏く主さまを発見し、まだ水が入った柄杓を振りかざしてしまい、頭から水を被ってしまうと…主さまが噴き出した。
「お前は何をしてるんだ。着替えて来い、風邪を引くぞ」
「暑いからすぐ乾くよ」
「息吹、着替えといで。着替えないと母様が許さないからね」
山姫にすごまれてしまって仕方なく着替えるために縁側に上がろうとした時――この屋敷には無縁の声が遠くから近付いてきた。
「え…、なに?」
息吹が主さまの袖を握り、皆で息をつめて玄関を見つめていると…
「遊びに来たぞ」
銀の腕には――赤子。
「ま、まあそういうことだからっ。主さまとばっか一緒に居るといじけるからな。俺とも遊べよな」
「う、うん。雪ちゃんやだ、はーなーしーてーっ!」
「やだね。もうちょっと触ってたいし」
恥ずかしがりながらも素直に想いを口にすると、背後からくすくすと笑う声が聴こえ、息吹が慌てて膝から下りた。
「主さまのものにべたべた触ると殺されるわよ、気を付けなさいな」
「か、母さん!でも俺宣戦布告してるし。息吹が主さまを選ぶとは限らないだろ」
雪男が反論すると、母の雪女と山姫が顔を見合わせ、爆笑。
ますます雪男の頬は膨れ、団扇で息吹の頭を軽くはたいた。
「な、そうだろ?」
「え…、う、うん、そう…だね。あっ、私お花に水を撒いて来ますっ」
会話を逸らしたい息吹が草履を履いて庭に下りると、主さまが自室からのそりと出てきて雪男、緊張。
「主さま…まだ朝だぜ、寝てた方が…」
「子供扱いするな。それよりさっき俺のものに何をしていた?」
――普段は何にも執着せず常に無表情の主さまだが、息吹が絡むと豹変する。
現に今も返答を間違えば刀を向けて来そうな殺気を放ち、雪男は身構えながら庭に下りた。
「俺と主さまの立場は同じはず。俺だって…息吹を嫁さんにしたいんだ。脅されたって負けねえからっ」
「…別に脅してない。からかっただけだ」
「嘘つけ」
「あっ、主さまっ」
息吹が水を撒きながらも目敏く主さまを発見し、まだ水が入った柄杓を振りかざしてしまい、頭から水を被ってしまうと…主さまが噴き出した。
「お前は何をしてるんだ。着替えて来い、風邪を引くぞ」
「暑いからすぐ乾くよ」
「息吹、着替えといで。着替えないと母様が許さないからね」
山姫にすごまれてしまって仕方なく着替えるために縁側に上がろうとした時――この屋敷には無縁の声が遠くから近付いてきた。
「え…、なに?」
息吹が主さまの袖を握り、皆で息をつめて玄関を見つめていると…
「遊びに来たぞ」
銀の腕には――赤子。

