やわらかな胸の感触が頬にあたり、いつも冷静な主さまは呆気なく混乱状態に陥った。
「いっ、息吹!やめろ!俺は赤子じゃない!」
「だって嬉しいんだもんっ。ねえ、今から寝るの?朝ごはんは?」
「もう寝るっ!だから離れろ!」
怒られまくり、仕方なく主さまを離した息吹は晴明にまた罰を与えられるのが怖くて、きちんと正座をし直した。
「せっかく会えたのにもう寝ちゃうなんて…。主さまは私のこと、そんなに好きじゃないのかも」
「…は?何を言っている?俺は…」
「だって…夕方までしか会えないのに…寝ちゃったらすぐ夕暮れが来て百鬼夜行に出るでしょ?寂しいよ…少しでいいからお話しようよ」
1年後は主さまに嫁ぐというのに、主さまがあまりにもいつも通りなので、息吹はぐずり、目じりを拭いながら立ち上がろうと中腰になった。
「…どこへ行く」
「寝るんでしょ?つまんないから雪ちゃんに遊んでもらうの。主さまは寝てていいよ。じゃあねっ」
顔も見ずに出て行こうとする息吹と息吹の発言にむかっとした主さまは息吹の腰に手を回し、無理矢理抱き寄せて膝に乗せた。
「何をひとりで突っ走っているんだ?俺が構わないからいじけているんだな?」
「ち、違うもんっ!馬鹿っ、離して!」
じたばたと抵抗としていると、薄暗い部屋にぽつぽつと青白い鬼火が燈った。
鬼火の現象は…主さまが高揚している時に起きる。
色々な意味で高揚していた主さまは、息吹の口から男の名が出ることを嫌い、牙を見せてぐっと顔を近付けた。
「お前は俺に嫁ぐんだろう?俺に食われ、生涯俺の傍に居る女になるんだ。だから俺の想いを疑うな」
「食うって…どういう意味?」
「自分で考えろ。疑ってばかりいると見放すぞ」
「!ご、ごめんなさい…。主さま…ごめんね?」
――もちろん見放すつもりなど毛頭ないのだが、つんつんしてみると息吹が必死になって謝り、抱き着いてきて内心有頂天。
「今から寝るのに邪魔してごめんなさい。母様とお話してるね」
「もうちょっとここに居ろ。…俺とて…その…一緒に居たい」
ごにょった。
「いっ、息吹!やめろ!俺は赤子じゃない!」
「だって嬉しいんだもんっ。ねえ、今から寝るの?朝ごはんは?」
「もう寝るっ!だから離れろ!」
怒られまくり、仕方なく主さまを離した息吹は晴明にまた罰を与えられるのが怖くて、きちんと正座をし直した。
「せっかく会えたのにもう寝ちゃうなんて…。主さまは私のこと、そんなに好きじゃないのかも」
「…は?何を言っている?俺は…」
「だって…夕方までしか会えないのに…寝ちゃったらすぐ夕暮れが来て百鬼夜行に出るでしょ?寂しいよ…少しでいいからお話しようよ」
1年後は主さまに嫁ぐというのに、主さまがあまりにもいつも通りなので、息吹はぐずり、目じりを拭いながら立ち上がろうと中腰になった。
「…どこへ行く」
「寝るんでしょ?つまんないから雪ちゃんに遊んでもらうの。主さまは寝てていいよ。じゃあねっ」
顔も見ずに出て行こうとする息吹と息吹の発言にむかっとした主さまは息吹の腰に手を回し、無理矢理抱き寄せて膝に乗せた。
「何をひとりで突っ走っているんだ?俺が構わないからいじけているんだな?」
「ち、違うもんっ!馬鹿っ、離して!」
じたばたと抵抗としていると、薄暗い部屋にぽつぽつと青白い鬼火が燈った。
鬼火の現象は…主さまが高揚している時に起きる。
色々な意味で高揚していた主さまは、息吹の口から男の名が出ることを嫌い、牙を見せてぐっと顔を近付けた。
「お前は俺に嫁ぐんだろう?俺に食われ、生涯俺の傍に居る女になるんだ。だから俺の想いを疑うな」
「食うって…どういう意味?」
「自分で考えろ。疑ってばかりいると見放すぞ」
「!ご、ごめんなさい…。主さま…ごめんね?」
――もちろん見放すつもりなど毛頭ないのだが、つんつんしてみると息吹が必死になって謝り、抱き着いてきて内心有頂天。
「今から寝るのに邪魔してごめんなさい。母様とお話してるね」
「もうちょっとここに居ろ。…俺とて…その…一緒に居たい」
ごにょった。

