晴明と山姫の掛け合い漫才を見て笑いながら、とても1人では食べきれない料理を前に隣の主さまの袖をくいくいと引っ張った。
「あのね主さま、父様のお誕生日のお祝い…今日しちゃ駄目かな」
「合同か。いいと思う。晴明も喜ぶだろう」
「じゃあ、あれを取って来なくっちゃ!」
晴明のために用意した贈り物の筆は主さまの部屋の引き出しに隠してある。
どんちゃん騒ぎをして晴明の意識が逸れている間にそーっと主さまの部屋に入ると、綺麗な包み紙に入った筆を懐に忍ばせ、そーっと出ると…襖には銀が寄りかかっていた。
「何をこそこそしているんだ?」
「きゃっ!し、銀さん…!あのね、父様のお誕生日の贈り物を買ったの。…筆なの。喜んでもらえるかな…」
「なに?それは喜ぶぞ。娘からの贈り物か…ふふふふ」
忍び笑いを漏らした銀が百鬼と盃を交わしている晴明に近寄り、肩を指で突いて顔を上げさせると息吹を指した。
「話があるそうだぞ」
「どうした息吹?」
「あの…父様…これ!」
隣に正座すると両手で包み紙を差し出した。
きょとんとしていた晴明はとりあえずそれを受け取り、息吹を見つめると首を捻った。
「はて、これは?」
「父様のお誕生日の贈り物なの。私の誕生日は主さまが作ってくれたし、今日は主さまの誕生日だし、父様も今日一緒にやっちゃおうよ。一緒に騒ごっ」
――誰かに贈り物をされたのは、これがはじめてのことで…
晴明はまじまじと薄紫の包み紙を見つめ、主さまたちが見守る中ゆっくりと包み紙を剥いだ。
「これは…筆?しかもこれは高価なやつだぞ」
「そう?店主さんが“値札を貼り間違えた”って言ってたよ。ね、主さま」
「ああ」
そのやりとりで主さまの機転だとわかったが、何よりも息吹の真心が嬉しくて、いつもは冷静沈着な晴明が子供のようにくしゃりと笑うと、息吹をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう、大切にするよ」
「うん、大切にしてね」
…まるで夫婦の約束を交わしているかのようなやりとりにむっとした主さまがぼそり。
「…俺への誕生日の贈り物は?」
息吹、ぎくり。
「あのね主さま、父様のお誕生日のお祝い…今日しちゃ駄目かな」
「合同か。いいと思う。晴明も喜ぶだろう」
「じゃあ、あれを取って来なくっちゃ!」
晴明のために用意した贈り物の筆は主さまの部屋の引き出しに隠してある。
どんちゃん騒ぎをして晴明の意識が逸れている間にそーっと主さまの部屋に入ると、綺麗な包み紙に入った筆を懐に忍ばせ、そーっと出ると…襖には銀が寄りかかっていた。
「何をこそこそしているんだ?」
「きゃっ!し、銀さん…!あのね、父様のお誕生日の贈り物を買ったの。…筆なの。喜んでもらえるかな…」
「なに?それは喜ぶぞ。娘からの贈り物か…ふふふふ」
忍び笑いを漏らした銀が百鬼と盃を交わしている晴明に近寄り、肩を指で突いて顔を上げさせると息吹を指した。
「話があるそうだぞ」
「どうした息吹?」
「あの…父様…これ!」
隣に正座すると両手で包み紙を差し出した。
きょとんとしていた晴明はとりあえずそれを受け取り、息吹を見つめると首を捻った。
「はて、これは?」
「父様のお誕生日の贈り物なの。私の誕生日は主さまが作ってくれたし、今日は主さまの誕生日だし、父様も今日一緒にやっちゃおうよ。一緒に騒ごっ」
――誰かに贈り物をされたのは、これがはじめてのことで…
晴明はまじまじと薄紫の包み紙を見つめ、主さまたちが見守る中ゆっくりと包み紙を剥いだ。
「これは…筆?しかもこれは高価なやつだぞ」
「そう?店主さんが“値札を貼り間違えた”って言ってたよ。ね、主さま」
「ああ」
そのやりとりで主さまの機転だとわかったが、何よりも息吹の真心が嬉しくて、いつもは冷静沈着な晴明が子供のようにくしゃりと笑うと、息吹をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう、大切にするよ」
「うん、大切にしてね」
…まるで夫婦の約束を交わしているかのようなやりとりにむっとした主さまがぼそり。
「…俺への誕生日の贈り物は?」
息吹、ぎくり。

