一体誰なのか…
人なのか、妖なのか?
何もかもがわからないだらけで、しかも息吹がその男と一緒に…つまり夫婦になりたいと願っている事実は、予想以上に主さまの心を痛ませた。
「…どんな男なんだ?」
「えーと…、いつも怒ってて…でも優しくって…あんまり一緒に居れないけど、でも一緒に居たいの」
「…よくわからん。怒ってて優しいだと?そんな気がころころ変わる男などやめておけ」
「でも…初恋の人だし…」
――よくよく考えれば主さまのことなのに、本人は全く気付かず、さらに険しい表情になり、息をついた。
「…お前はその男と夫婦になりたいのか?」
「夫婦になれたら幸せだなって思うけど…多分無理。私のことなんてなんとも思ってないみたいだから」
息吹が小さく笑い、主さまはそれを密かに喜んだ。
だが叶わない想いを抱える切なさはよくわかる。
こんなに愛らしい女を袖にする男に苛立ちを覚えながらも、元気のなくなってしまった息吹の頭の上にぽんと手を置き、小さく撫でた。
「…お前が嫁に行き遅れたら、仕方がないから俺が嫁に貰ってやる」
「え…、ほんと!?」
「…!?な…、なんだその反応は…」
俄然身を乗り出して膝に触れてきた息吹の手を払うと、さらに距離を詰めて瞳を輝かせた息吹がはっと我に返り、顔を真っ赤にさせて俯き、背を向けた。
「…仕方がないからお嫁さんに行き遅れたら主さまのお嫁さんになってあげるっ」
「俺が先に嫁を貰うとは思わないわけか」
「主さまみたいな気難し屋さんのところにお嫁さんに来る奇特な人が居るとは思えないもん」
「…ふん、言ってろ」
――煙を空に向かって吐き出すと、息吹がくるっとこちらを向き、ころんと寝転がって無理矢理膝枕をしてきた。
「やめろ」
「欲しいものなんてなんにもないよ。こうしてみんなと一緒に居れたらそれでいいの。みんなと一緒に居るのが好きなの」
「…嫁に行ってしまったら…そうそう会えなくなる」
「…」
それには答えず瞳を閉じた息吹の髪を撫で、誰かのものになってしまうかもしれないという焦りを覚えた。
人なのか、妖なのか?
何もかもがわからないだらけで、しかも息吹がその男と一緒に…つまり夫婦になりたいと願っている事実は、予想以上に主さまの心を痛ませた。
「…どんな男なんだ?」
「えーと…、いつも怒ってて…でも優しくって…あんまり一緒に居れないけど、でも一緒に居たいの」
「…よくわからん。怒ってて優しいだと?そんな気がころころ変わる男などやめておけ」
「でも…初恋の人だし…」
――よくよく考えれば主さまのことなのに、本人は全く気付かず、さらに険しい表情になり、息をついた。
「…お前はその男と夫婦になりたいのか?」
「夫婦になれたら幸せだなって思うけど…多分無理。私のことなんてなんとも思ってないみたいだから」
息吹が小さく笑い、主さまはそれを密かに喜んだ。
だが叶わない想いを抱える切なさはよくわかる。
こんなに愛らしい女を袖にする男に苛立ちを覚えながらも、元気のなくなってしまった息吹の頭の上にぽんと手を置き、小さく撫でた。
「…お前が嫁に行き遅れたら、仕方がないから俺が嫁に貰ってやる」
「え…、ほんと!?」
「…!?な…、なんだその反応は…」
俄然身を乗り出して膝に触れてきた息吹の手を払うと、さらに距離を詰めて瞳を輝かせた息吹がはっと我に返り、顔を真っ赤にさせて俯き、背を向けた。
「…仕方がないからお嫁さんに行き遅れたら主さまのお嫁さんになってあげるっ」
「俺が先に嫁を貰うとは思わないわけか」
「主さまみたいな気難し屋さんのところにお嫁さんに来る奇特な人が居るとは思えないもん」
「…ふん、言ってろ」
――煙を空に向かって吐き出すと、息吹がくるっとこちらを向き、ころんと寝転がって無理矢理膝枕をしてきた。
「やめろ」
「欲しいものなんてなんにもないよ。こうしてみんなと一緒に居れたらそれでいいの。みんなと一緒に居るのが好きなの」
「…嫁に行ってしまったら…そうそう会えなくなる」
「…」
それには答えず瞳を閉じた息吹の髪を撫で、誰かのものになってしまうかもしれないという焦りを覚えた。

