働き者の息吹は昼になると少しだけ昼寝をする。
銀と話したいのは山々だったのだが、しばらく晴明の屋敷に逗留すると聞いて焦る必要はないと思った息吹は、割り当てられた主さまの部屋の隣の自室で押入れから主さまの分と交換した布団を引っ張り出し、横になると思いきり香りを吸い込んだ。
「主さま、なんのお香をつけてるのかな…今度分けてもらおうかな…」
隣の主さまの部屋からは物音ひとつ聴こえないので主さまは寝ているのだろう。
毎日毎夜百鬼夜行を引き連れて居なくなってしまうので、夕方になれば集結した妖たちと少し談笑し、平安町へと帰らなければならない。
…もし主さまのお嫁さんになれたとしたら、ここで暮らすことができるのだろうか。
「それって…とっても…幸せ………すぅ」
――息吹が寝入ってしまい、晴明や銀、雪男が起こさないようにと息吹と主さまの部屋から離れた部屋に移動した後むくりと起き上がったのは…主さまだ。
そっと息吹の部屋に通じる襖を開けると、布団に包まってまん丸になり、眠っていた。
それは元々自分の布団だったので、無性に恥ずかしい思いになりつつも立ったまま寝顔を観察すると、息吹は完全に眠っており、起きる気配はなかった。
そういえば以前晴明が“息吹が1度寝るとなかなか起きない”と言っていたので、腰を下ろし、紅を引いた可愛らしい唇に親指で触れた。
「…息吹」
呼びかけても反応はなく、相変わらず寝相の悪い息吹が寝返りを打つと着物が太股まで捲れてしまい、主さま大慌て。
真っ白な太股が視界に飛び込んでしまい、慌てふためきながら捲れた着物を引っ張って元に戻すと布団をかけた。
「…女がはしたないぞ」
注意しても聴いてないのはわかっているのだが、つい小言を言いがちな主さまが息をつくと…
「主、さま………好き…」
「…!」
――突然息吹の口から飛び出たその言葉に思いきり動揺した主さまは声を上げそうになり、自分の口を手で塞いで瞳を見開いた。
「な…、な…っ」
「十六夜さ…」
「!!」
真の名を呼ばれ、身体が震えた。
喜びに、震えた。
銀と話したいのは山々だったのだが、しばらく晴明の屋敷に逗留すると聞いて焦る必要はないと思った息吹は、割り当てられた主さまの部屋の隣の自室で押入れから主さまの分と交換した布団を引っ張り出し、横になると思いきり香りを吸い込んだ。
「主さま、なんのお香をつけてるのかな…今度分けてもらおうかな…」
隣の主さまの部屋からは物音ひとつ聴こえないので主さまは寝ているのだろう。
毎日毎夜百鬼夜行を引き連れて居なくなってしまうので、夕方になれば集結した妖たちと少し談笑し、平安町へと帰らなければならない。
…もし主さまのお嫁さんになれたとしたら、ここで暮らすことができるのだろうか。
「それって…とっても…幸せ………すぅ」
――息吹が寝入ってしまい、晴明や銀、雪男が起こさないようにと息吹と主さまの部屋から離れた部屋に移動した後むくりと起き上がったのは…主さまだ。
そっと息吹の部屋に通じる襖を開けると、布団に包まってまん丸になり、眠っていた。
それは元々自分の布団だったので、無性に恥ずかしい思いになりつつも立ったまま寝顔を観察すると、息吹は完全に眠っており、起きる気配はなかった。
そういえば以前晴明が“息吹が1度寝るとなかなか起きない”と言っていたので、腰を下ろし、紅を引いた可愛らしい唇に親指で触れた。
「…息吹」
呼びかけても反応はなく、相変わらず寝相の悪い息吹が寝返りを打つと着物が太股まで捲れてしまい、主さま大慌て。
真っ白な太股が視界に飛び込んでしまい、慌てふためきながら捲れた着物を引っ張って元に戻すと布団をかけた。
「…女がはしたないぞ」
注意しても聴いてないのはわかっているのだが、つい小言を言いがちな主さまが息をつくと…
「主、さま………好き…」
「…!」
――突然息吹の口から飛び出たその言葉に思いきり動揺した主さまは声を上げそうになり、自分の口を手で塞いで瞳を見開いた。
「な…、な…っ」
「十六夜さ…」
「!!」
真の名を呼ばれ、身体が震えた。
喜びに、震えた。

