銀が尻尾を動かしたり耳を動かすと息吹が反応し、触りたそうな顔でうずうずしていることは誰もが気付いていた。
それを知っていて、わざと銀が耳をぴょこぴょこと動かすと、とうとう息吹が膝をついて立ち上がり、手をわきわきさせてにじり寄った。
「お願い、触らせてっ」
「やめろ息吹」
「俺は別に構わんが…さあ触れ」
頭を傾けて触りやすいようにしてくれると、主さまの制止を振り切り、とうとう銀のふわふわの耳に触れた息吹は、指先に伝わるあたたかくてやわらかくてふわふわな耳に感動した。
「わ…ふわふわ…」
「尻尾も触るか?」
「でもさっき“いやらしい子だ”って…」
「俺の耳や尻尾を触った者は悉く殺してきたがお前ならいい。ほとんど触らせたことがないからそう言っただけだ。気にするな」
小さな頃から動物系の妖と遊んできた息吹にとっては耳と尻尾の生えている銀はある意味大好物で、鼻息荒く背を向けた銀の尻尾に触ろうとすると…とうとう主さまが切れた。
「触るなと言っている。ちょっとこっちに来い!」
「ゃんっ、やだ主さま!触らせてー!」
いやがる息吹の腕を引っ張って無理矢理自室に連れ込むと、唇を尖らせる息吹の顎を取って無理矢理上向かせるとぐっと顔を近付けた。
「あいつに触れるな。いいか、あいつは…」
「主さまと仲が悪いのはわかるけど、私も仲良くしちゃいけないっていうのは違うと思うの。父様のお母様のお兄様なんだよ、優しいし面白い方だよ」
「…あいつの本性を知らないからそう言えるんだ。…もういい、勝手にしろ」
――突き放され、むっとなった息吹は顎にかかった主さまの指を強めに齧り、主さまを驚かせた。
「言いなりなんかにならないから!私は私の意志で銀さんと仲良くするの!」
「…やったなこいつ」
本当は息吹に触りたくて仕方のない主さまは怒ったふりをして息吹の右手を取り、細い人差し指を同じように齧り、声を上げさせた。
「ぃたっ」
「用心しろ。何かあったらすぐ俺に話せ」
「…うん」
心配している気持ちは息吹にちゃんと伝わっていた。
それを知っていて、わざと銀が耳をぴょこぴょこと動かすと、とうとう息吹が膝をついて立ち上がり、手をわきわきさせてにじり寄った。
「お願い、触らせてっ」
「やめろ息吹」
「俺は別に構わんが…さあ触れ」
頭を傾けて触りやすいようにしてくれると、主さまの制止を振り切り、とうとう銀のふわふわの耳に触れた息吹は、指先に伝わるあたたかくてやわらかくてふわふわな耳に感動した。
「わ…ふわふわ…」
「尻尾も触るか?」
「でもさっき“いやらしい子だ”って…」
「俺の耳や尻尾を触った者は悉く殺してきたがお前ならいい。ほとんど触らせたことがないからそう言っただけだ。気にするな」
小さな頃から動物系の妖と遊んできた息吹にとっては耳と尻尾の生えている銀はある意味大好物で、鼻息荒く背を向けた銀の尻尾に触ろうとすると…とうとう主さまが切れた。
「触るなと言っている。ちょっとこっちに来い!」
「ゃんっ、やだ主さま!触らせてー!」
いやがる息吹の腕を引っ張って無理矢理自室に連れ込むと、唇を尖らせる息吹の顎を取って無理矢理上向かせるとぐっと顔を近付けた。
「あいつに触れるな。いいか、あいつは…」
「主さまと仲が悪いのはわかるけど、私も仲良くしちゃいけないっていうのは違うと思うの。父様のお母様のお兄様なんだよ、優しいし面白い方だよ」
「…あいつの本性を知らないからそう言えるんだ。…もういい、勝手にしろ」
――突き放され、むっとなった息吹は顎にかかった主さまの指を強めに齧り、主さまを驚かせた。
「言いなりなんかにならないから!私は私の意志で銀さんと仲良くするの!」
「…やったなこいつ」
本当は息吹に触りたくて仕方のない主さまは怒ったふりをして息吹の右手を取り、細い人差し指を同じように齧り、声を上げさせた。
「ぃたっ」
「用心しろ。何かあったらすぐ俺に話せ」
「…うん」
心配している気持ちは息吹にちゃんと伝わっていた。

