息吹が雪男の背中に隠れて出て来ないでいると、銀は明らかに優男とわかる柔和な美貌に笑みを浮かべ、縁側に座ると居座りを決め込んだ。
「誰が腰かけていいと言った?」
「そう食いつくな、俺は敵じゃない。少々その娘に興味があるだけだ」
「…それが1番困ると言っている」
ぼそ、と主さまが呟くと、銀は三白眼を思いきり見開きながら爆笑した。
「はははっ!十六夜…すっかり変わってしまったな。人間の小娘に振り回されているとは思いもしなかったぞ」
「…うるさい。それより息吹に近づくな。今度は容赦せんぞ」
「なに?お前と争った時は容赦されていたのか?なるほど、あれは全力ではなかったのか、そう思っていたがなるほどなるほど」
「…」
――相変わらず性格が悪い。
晴明に通じる嫌味を吐かれた主さまは、雪男の背中から顔だけ出して様子を窺っている息吹を招きよせた。
「…いいの?」
「…いいから来い」
すると素直に主さまに駆け寄って隣に座り、なおも上目遣いで銀を観察する息吹の頭を煙管で軽く叩いた。
「いたっ」
「縁者だから晴明によく似ているだろう?優男だと思って気を抜いていると噛みつかれるぞ」
「お前はもうその娘に噛みついた後なのか?」
「えっ」
息吹が声を上げて顔を赤くすると、主さまの顔も同じように赤くなり、雪男がむかっとした。
「だ、誰がこんな小娘に噛みついたりするものか!」
「ほほう、やわらかくて美味そうだがまだだったか。ではもちろん抱いたりも…」
「黙れ。それ以上話すな」
頭から湯気が出そうなほどに息吹が真っ赤になってしまい、それが伝染してしまった主さまが怒らせようとする銀の罠にまんまと引っかかろうとした時――
「おや?そなたは…銀では?」
「おお晴明、久しいな、俺のことを覚えていたか?」
「もちろん。で?息吹と十六夜が熟れた果実のような顔をしているが、それの説明をしてもらえるだろうか?」
「あ、あの、父様、なんでもありませんっ」
息吹がその場から逃げ、銀が愉快そうに笑い声を上げた。
「可愛いな」
主さま、危機感。
「誰が腰かけていいと言った?」
「そう食いつくな、俺は敵じゃない。少々その娘に興味があるだけだ」
「…それが1番困ると言っている」
ぼそ、と主さまが呟くと、銀は三白眼を思いきり見開きながら爆笑した。
「はははっ!十六夜…すっかり変わってしまったな。人間の小娘に振り回されているとは思いもしなかったぞ」
「…うるさい。それより息吹に近づくな。今度は容赦せんぞ」
「なに?お前と争った時は容赦されていたのか?なるほど、あれは全力ではなかったのか、そう思っていたがなるほどなるほど」
「…」
――相変わらず性格が悪い。
晴明に通じる嫌味を吐かれた主さまは、雪男の背中から顔だけ出して様子を窺っている息吹を招きよせた。
「…いいの?」
「…いいから来い」
すると素直に主さまに駆け寄って隣に座り、なおも上目遣いで銀を観察する息吹の頭を煙管で軽く叩いた。
「いたっ」
「縁者だから晴明によく似ているだろう?優男だと思って気を抜いていると噛みつかれるぞ」
「お前はもうその娘に噛みついた後なのか?」
「えっ」
息吹が声を上げて顔を赤くすると、主さまの顔も同じように赤くなり、雪男がむかっとした。
「だ、誰がこんな小娘に噛みついたりするものか!」
「ほほう、やわらかくて美味そうだがまだだったか。ではもちろん抱いたりも…」
「黙れ。それ以上話すな」
頭から湯気が出そうなほどに息吹が真っ赤になってしまい、それが伝染してしまった主さまが怒らせようとする銀の罠にまんまと引っかかろうとした時――
「おや?そなたは…銀では?」
「おお晴明、久しいな、俺のことを覚えていたか?」
「もちろん。で?息吹と十六夜が熟れた果実のような顔をしているが、それの説明をしてもらえるだろうか?」
「あ、あの、父様、なんでもありませんっ」
息吹がその場から逃げ、銀が愉快そうに笑い声を上げた。
「可愛いな」
主さま、危機感。

