息吹が主さまの屋敷に着いた時、主さまは雪女と山姫の3人で息吹の誕生日について内密に打ち合わせをしていた。
だが誰よりも息吹の存在に敏感な主さまは遠くから近付いてくる息吹と雪男の声に眉をひそめ、舌打ちをしながら腰を上げた。
「主さま?まだ話が…」
「あれが来た。事がばれると面倒なことになる。続きはあれが帰った後でいい」
「ふふふ」
雪女が袖で口元を隠して笑うと、かちんときた主さまがさっさと自室に戻るために襖を開けようとした時…縁側の方から息吹がひょっこり現れた。
「あ、主さまだ、起きてた!」
「…朝っぱらから何の用だ」
「えっと…その…」
…蝉の鳴き声がうるさい。
息吹の声は掻き消える程に小さく、気が長くない主さまは息吹の返事を待たずに部屋に入り、後を追って来るのを待ったのだが…来ない。
「なんだあいつ…」
訳が分からず横になると眠たくなってしまい、うとうとしかけた時に息吹が部屋に入ってきた。
「主さま…寝ちゃう?」
「…だから何の用だ」
「用っていうか…なんていうか…とっても言いにくいことなの」
薄目を開けて息吹を盗み見ると、薄化粧をしていて紅も引いており、緋色の着物を着て少し色気のある息吹にぐらっときてしまい、慌ててまた瞳を閉じた。
「早く言わないと寝るぞ」
「…寝てもいいよ。でもちょっとここに居させて」
「…」
なんだか訳がわからなかったが…息吹が隣に居て眠れるわけもなく、寝たふりをしているとごそごと音がした後、今度はぽりぽりという不思議な音がした。
「…何を食っている」
「主さまも食べる?」
返事もしない間に唇に硬い何かが押しつけられ、瞳を閉じたまま口を開くと甘い味が一気に広がり、顔をしかめた。
「金平糖。主さま好きでしょ?」
「……好きだ」
…好きというほどでもなかったが、息吹に気持ちを伝えたい主さまが“好きだ”と口に乗せるといつもは鈍感な息吹の顔が真っ赤になり、焦りまくり。
「息吹…?」
「私…」
主さまと見つめ合う――
だが誰よりも息吹の存在に敏感な主さまは遠くから近付いてくる息吹と雪男の声に眉をひそめ、舌打ちをしながら腰を上げた。
「主さま?まだ話が…」
「あれが来た。事がばれると面倒なことになる。続きはあれが帰った後でいい」
「ふふふ」
雪女が袖で口元を隠して笑うと、かちんときた主さまがさっさと自室に戻るために襖を開けようとした時…縁側の方から息吹がひょっこり現れた。
「あ、主さまだ、起きてた!」
「…朝っぱらから何の用だ」
「えっと…その…」
…蝉の鳴き声がうるさい。
息吹の声は掻き消える程に小さく、気が長くない主さまは息吹の返事を待たずに部屋に入り、後を追って来るのを待ったのだが…来ない。
「なんだあいつ…」
訳が分からず横になると眠たくなってしまい、うとうとしかけた時に息吹が部屋に入ってきた。
「主さま…寝ちゃう?」
「…だから何の用だ」
「用っていうか…なんていうか…とっても言いにくいことなの」
薄目を開けて息吹を盗み見ると、薄化粧をしていて紅も引いており、緋色の着物を着て少し色気のある息吹にぐらっときてしまい、慌ててまた瞳を閉じた。
「早く言わないと寝るぞ」
「…寝てもいいよ。でもちょっとここに居させて」
「…」
なんだか訳がわからなかったが…息吹が隣に居て眠れるわけもなく、寝たふりをしているとごそごと音がした後、今度はぽりぽりという不思議な音がした。
「…何を食っている」
「主さまも食べる?」
返事もしない間に唇に硬い何かが押しつけられ、瞳を閉じたまま口を開くと甘い味が一気に広がり、顔をしかめた。
「金平糖。主さま好きでしょ?」
「……好きだ」
…好きというほどでもなかったが、息吹に気持ちを伝えたい主さまが“好きだ”と口に乗せるといつもは鈍感な息吹の顔が真っ赤になり、焦りまくり。
「息吹…?」
「私…」
主さまと見つめ合う――

