早朝目覚めた息吹が顔を洗い、身支度を整えると、まだ眠っていた晴明の部屋に忍び込み、肩を揺すった。
「父様、朝餉を用意しておきましたから後で食べて下さいね」
「……ん…?もう朝か…。十六夜の所へ行くのだろう?後で私も行くからね」
「はい。父様、昨晩は団扇で扇いでくれてありがとうございました。じゃあ行ってきます」
「?気を付けて行くんだよ」
もちろん晴明にその覚えはなく、晴明は首を傾げながらむくりと起き上がり、跳ねた髪をかき上げながら首を傾げた。
「寝ぼけているのか?…おや?」
縁側に出て伸びをしていると、ふわふわと宙に舞うものがあり、それを人差し指と親指でつまみ、じっくりと眺めた。
「…銀色の毛?…何やら見覚えがあるな」
考え込んでいると式神の童女が息吹が用意してくれた朝餉を運んできたので、そちらに気が向いてしまった晴明は銀色の毛を庭に捨てると部屋の中へと戻って行った。
――そして晴明が毎回用意してくれる無人の牛車に乗った息吹が平安町を通り、幽玄橋を渡った頃…
息吹は最高に緊張していて、変な汗をかいていた。
「どうしよう…なんて告白すればいいんだろ…」
告白すると決めたのだがどう切り出せばいいのかわからずに悶々としていると牛車が止まり、御簾が上げられ、赤鬼と青鬼が背を屈めて仲を覗き込んできた。
「息吹!今日も早いな!」
「赤、青!今日もご苦労様」
息吹に労いの言葉をかけてもらえて、誰もが震え上がらずにはいられないほど凶悪な顔をした2匹が長い牙を見せてにかっと笑うと、代わる代わる息吹の頭をぐりぐりと撫でた。
「どうした?顔が赤いぞ?」
「え?!な、なんでもないよ!じゃあ主さまのとこに行って来るね」
2匹と別れて幽玄町の最奥を目指し、そのうちに扇子で顔を扇いで落ち着きを取り戻すと、牛車が止まった。
「息吹!」
「あ、雪ちゃんおはよ」
今か今かと待ち構えていた雪男が御簾を上げて笑いかけて来ると、求婚されたことを思い出してしまった息吹の顔はまた真っ赤になってしまった。
「?どした?」
「きょ、今日は暑いね!」
誤魔化すのに必死。
「父様、朝餉を用意しておきましたから後で食べて下さいね」
「……ん…?もう朝か…。十六夜の所へ行くのだろう?後で私も行くからね」
「はい。父様、昨晩は団扇で扇いでくれてありがとうございました。じゃあ行ってきます」
「?気を付けて行くんだよ」
もちろん晴明にその覚えはなく、晴明は首を傾げながらむくりと起き上がり、跳ねた髪をかき上げながら首を傾げた。
「寝ぼけているのか?…おや?」
縁側に出て伸びをしていると、ふわふわと宙に舞うものがあり、それを人差し指と親指でつまみ、じっくりと眺めた。
「…銀色の毛?…何やら見覚えがあるな」
考え込んでいると式神の童女が息吹が用意してくれた朝餉を運んできたので、そちらに気が向いてしまった晴明は銀色の毛を庭に捨てると部屋の中へと戻って行った。
――そして晴明が毎回用意してくれる無人の牛車に乗った息吹が平安町を通り、幽玄橋を渡った頃…
息吹は最高に緊張していて、変な汗をかいていた。
「どうしよう…なんて告白すればいいんだろ…」
告白すると決めたのだがどう切り出せばいいのかわからずに悶々としていると牛車が止まり、御簾が上げられ、赤鬼と青鬼が背を屈めて仲を覗き込んできた。
「息吹!今日も早いな!」
「赤、青!今日もご苦労様」
息吹に労いの言葉をかけてもらえて、誰もが震え上がらずにはいられないほど凶悪な顔をした2匹が長い牙を見せてにかっと笑うと、代わる代わる息吹の頭をぐりぐりと撫でた。
「どうした?顔が赤いぞ?」
「え?!な、なんでもないよ!じゃあ主さまのとこに行って来るね」
2匹と別れて幽玄町の最奥を目指し、そのうちに扇子で顔を扇いで落ち着きを取り戻すと、牛車が止まった。
「息吹!」
「あ、雪ちゃんおはよ」
今か今かと待ち構えていた雪男が御簾を上げて笑いかけて来ると、求婚されたことを思い出してしまった息吹の顔はまた真っ赤になってしまった。
「?どした?」
「きょ、今日は暑いね!」
誤魔化すのに必死。

