明らかに道長の肩が落ちたのでさすがに心配になり、息吹は道長の隣に移動して袖をきゅっと握った。
「道長様…どうしたんですか?」
「…息吹はあの幽玄町の主が好きなのか?」
「!え…、え!?ど、どうしてそんなこと聞くんですか?私…別に…主さまのことなんか…」
動揺して口ごもる息吹の態度は完全に道長の問いを肯定していて、道長が頭を抱えると晴明がすっと立ち上がった。
「父様?」
「少々用を思い出した。すぐに戻って来るよ」
道長と2人きりになっても、道長を男として意識していない息吹はきょとんとしたままさらに道長の顔を覗き込んだ。
「…で?幽玄町の主とは恋仲ではないと言い切れるか?」
「え…恋仲!?ぬ、主さまとはそんなんじゃ…」
「では…将来的に俺の妻に、と考えてもらってもいいだろうか?」
――最初何を言われているのかわからずに瞳をぱちくりとさせると、とうとう息吹に求婚した道長は男らしく腰を据えて息吹の両肩に手を置いた。
「俺の妻に!今すぐにとは言わないから考えてくれ!…では帰る!」
「つ、妻!?道長様…っ、え?どういう…え!?」
状況が呑み込めずにあたふたしている間に道長が風の如く去ってしまい、求婚された息吹は…ここではじめて道長を意識し、顔を真っ赤にさせた。
「そんな…道長様が私のことを…?」
「おやおや、どうしたんだい、顔が真っ赤だよ」
晴明がひょっこり戻って来たので袖を引っ張って無理矢理座らせると膝に上り込み、思いきり抱き着いて顔を隠した。
「道長様が…私をお嫁さんにって…!」
「ああそうか、今日は諦めたと言っておきながら辛抱たまらなかったんだな」
「え?父様は知ってたんですか?」
「知っていたというか見ていればわかる。どうだ息吹、道長は家柄も良いし、性格も明るく豪気だ。そなたを幸せにしてくれると思うぞ」
――主さまの顔が浮かび、息吹はすぐに首を振るといやいやをして駄々をこねた。
「やだ、私…主さまを…」
「先ほどは道長に問われて否定しただろう?…素直になりなさい」
晴明が息吹の背中を押した。
「道長様…どうしたんですか?」
「…息吹はあの幽玄町の主が好きなのか?」
「!え…、え!?ど、どうしてそんなこと聞くんですか?私…別に…主さまのことなんか…」
動揺して口ごもる息吹の態度は完全に道長の問いを肯定していて、道長が頭を抱えると晴明がすっと立ち上がった。
「父様?」
「少々用を思い出した。すぐに戻って来るよ」
道長と2人きりになっても、道長を男として意識していない息吹はきょとんとしたままさらに道長の顔を覗き込んだ。
「…で?幽玄町の主とは恋仲ではないと言い切れるか?」
「え…恋仲!?ぬ、主さまとはそんなんじゃ…」
「では…将来的に俺の妻に、と考えてもらってもいいだろうか?」
――最初何を言われているのかわからずに瞳をぱちくりとさせると、とうとう息吹に求婚した道長は男らしく腰を据えて息吹の両肩に手を置いた。
「俺の妻に!今すぐにとは言わないから考えてくれ!…では帰る!」
「つ、妻!?道長様…っ、え?どういう…え!?」
状況が呑み込めずにあたふたしている間に道長が風の如く去ってしまい、求婚された息吹は…ここではじめて道長を意識し、顔を真っ赤にさせた。
「そんな…道長様が私のことを…?」
「おやおや、どうしたんだい、顔が真っ赤だよ」
晴明がひょっこり戻って来たので袖を引っ張って無理矢理座らせると膝に上り込み、思いきり抱き着いて顔を隠した。
「道長様が…私をお嫁さんにって…!」
「ああそうか、今日は諦めたと言っておきながら辛抱たまらなかったんだな」
「え?父様は知ってたんですか?」
「知っていたというか見ていればわかる。どうだ息吹、道長は家柄も良いし、性格も明るく豪気だ。そなたを幸せにしてくれると思うぞ」
――主さまの顔が浮かび、息吹はすぐに首を振るといやいやをして駄々をこねた。
「やだ、私…主さまを…」
「先ほどは道長に問われて否定しただろう?…素直になりなさい」
晴明が息吹の背中を押した。

