ねえ主さま…主さまに読んで読んでほしいな。駄目?」
「は?…これを…俺に読めと?」
「うん。だって主さまの声って聴いてると気持ちいいんだもん。駄目?」
おねだりされて嬉しいは嬉しいのだが…“声が気持ちいい”と言われて無性に恥ずかしくなり、膝に乗っている息吹の手を払いのけた。
「じ、自分で読め」
「やだったら。お願い主さま。はいっ、準備完了!」
すると隣に横向きになって寝転がり、きらきらとした瞳で見上げてくるのでさすがにいやだとは言えず、躊躇しながらも下りを読み始めた。
「…“いづれの御時にか”…」
…ちらっと息吹を盗み見ると…むくりと起き上がり、じわりと近付いてきたと思ったら…膝に頭を預けてきた。
「!」
「ここがいいな。主さまっ、続き!」
――今の自分はきっと全身真っ赤だという自信がある。
現に息吹が寝転がったまま扇子を扇いで風を送ってくれていて、自分だけ意識するのも馬鹿らしくなった主さまはすらすらと淀みなく『源氏の物語』を読んだ。
そうしているうちにだんだん面白くなってきて、光源氏の台詞になると本人になりきったつもりで抑揚をつけてみると、息吹がものすごくうっとりとした瞳で見つめて来る。
舞い上がった主さまが緊張まっしぐらな中、息吹が瞳を閉じ、長い睫毛が美しい黒瞳を隠した。
「…息吹?」
「すっごく気持ちいい声…。それに主さまの匂いもするし…主さまってこんなに気持ちいい人だったんだね。眠たくなってきちゃった…」
「……お前だっていい匂いがする。……俺も眠たくなってきた」
下心いっぱいで巻物を脇に置いて寝転がると、息吹が腕の中に転がり込んできた。
待っていた絶好の機会に口から心臓が飛び出そうになりながら息吹の身体に腕を回して引き寄せると、息吹が聴こえるほどに鼻で着物についた香の匂いを吸い込んだ。
「続きは…また…起きたらでいいよね?主さまとお昼寝…嬉しい」
すでにうとうとし始めた息吹を気付かれない程度べたべた触りまくり、大満足。
2人瞳を閉じながら、昼の惰眠を貪った。
「は?…これを…俺に読めと?」
「うん。だって主さまの声って聴いてると気持ちいいんだもん。駄目?」
おねだりされて嬉しいは嬉しいのだが…“声が気持ちいい”と言われて無性に恥ずかしくなり、膝に乗っている息吹の手を払いのけた。
「じ、自分で読め」
「やだったら。お願い主さま。はいっ、準備完了!」
すると隣に横向きになって寝転がり、きらきらとした瞳で見上げてくるのでさすがにいやだとは言えず、躊躇しながらも下りを読み始めた。
「…“いづれの御時にか”…」
…ちらっと息吹を盗み見ると…むくりと起き上がり、じわりと近付いてきたと思ったら…膝に頭を預けてきた。
「!」
「ここがいいな。主さまっ、続き!」
――今の自分はきっと全身真っ赤だという自信がある。
現に息吹が寝転がったまま扇子を扇いで風を送ってくれていて、自分だけ意識するのも馬鹿らしくなった主さまはすらすらと淀みなく『源氏の物語』を読んだ。
そうしているうちにだんだん面白くなってきて、光源氏の台詞になると本人になりきったつもりで抑揚をつけてみると、息吹がものすごくうっとりとした瞳で見つめて来る。
舞い上がった主さまが緊張まっしぐらな中、息吹が瞳を閉じ、長い睫毛が美しい黒瞳を隠した。
「…息吹?」
「すっごく気持ちいい声…。それに主さまの匂いもするし…主さまってこんなに気持ちいい人だったんだね。眠たくなってきちゃった…」
「……お前だっていい匂いがする。……俺も眠たくなってきた」
下心いっぱいで巻物を脇に置いて寝転がると、息吹が腕の中に転がり込んできた。
待っていた絶好の機会に口から心臓が飛び出そうになりながら息吹の身体に腕を回して引き寄せると、息吹が聴こえるほどに鼻で着物についた香の匂いを吸い込んだ。
「続きは…また…起きたらでいいよね?主さまとお昼寝…嬉しい」
すでにうとうとし始めた息吹を気付かれない程度べたべた触りまくり、大満足。
2人瞳を閉じながら、昼の惰眠を貪った。

